開発ストーリー / ハイプレシカ

写真

液晶ディスプレー製造に不可欠な
ギャップ制御用スペーサー
「ハイプレシカ」

写真ハイプレシカ

1995年(平成7年)に「ハイプレシカ」が上市されて以来、20年が過ぎました。「ハイプレシカ」の主用途である液晶ディスプレー(LCD)は、その間に大画面化、高画質化、マーケットのグローバル化と劇的に変化していきました。宇部エクシモのLCDギャップ制御用スペーサー「ハイプレシカ」はその市場環境の変化に耐え、現在もシリカスペーサーの市場で高いシェアを維持しています。

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シリカ微粒子顕微鏡写真シリカ微粒子顕微鏡写真

開発のきっかけ
当初、オレフィン樹脂を加工した製品開発をメインに進めていましたが、有機・無機のハイブリッドのテーマとして何かないかと模索する中、ゾルーゲル法という元々はガラスを低温で作る技術があることを知ったことが「ハイプレシカ」開発のきっかけでした。
現在の「ハイプレシカ」の原型は、サブミクロンのシリカ微粒子の研究の中で分散液を静置して沈降させた塊がオパール色を呈したことにありました。電子顕微鏡観察してみると球状で非常に径が揃った粒子が見事に六方最密充填構造を形成していることがわかり、これにより光の干渉を生じたことが分かりました。

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LCDスペーサー断面図LCDスペーサー断面図

シリカ微粒子の市場調査
これまでに見たことがない均一な径の粒子でしたが、その後しばらくは、微粒子の用途開発ではなく、シリカガラス焼結体の原料粉体としての研究が続きました。
用途開発の糸口を見つけるために工業雑誌に広告掲載したり異業種交流展(1991)に出展したりと市場の反響を調査する中、急速に発展するLCDの高精細化や高機能化に伴うガラス基板間のギャップ制御が課題として取りざたされるようになり、「ハイプレシカ」をLCDスペーサーとして活用できないかという検討が始まりました。

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粒度分布図(イメージ)粒度分布図(イメージ)

LCDスペーサー商用化への展開
異業種交流展以後、 LCDスペーサーのサンプルを多くのユーザーに提供しながら開発を進めました。その数年後、本格的な採用検討に向けたサンプルとして、粒径数ミクロン(μm)の粒子を0.1 μmピッチでサイズを変えて数十種類作製してほしいという依頼を受けたことが、ターニングポイントとなりました。
当時、まだ製造技術が未熟で、実のところは数多く合成して、粒径が当てはまったものをサンプルにするという、人海戦術に近い形でサンプルを作り上げ、半年をかけてようやく、すべてのサンプルを完納しましたが、この対応がLCDスペーサの製造技術が飛躍的に進歩する土台となり、その後の発展に手応えを感じるようになりました。
このようにして、徐々に顧客を増やし、1995年(平成7年)に「ハイプレシカ」を上市するに至りました。

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多彩な開発ラインナップ ※供給をお約束するものではありません。多彩な開発ラインナップ ※供給をお約束するものではありません。

ハイプレシカの魅力と強み
量産化の段階で困難も多々ありましたが、独自の設備を自由な発想で設計し、課題を解決してきました。その実力は当時設備を見学にいらしたユーザーの方から非常に高い評価をいただくものでした。
その品質の高さから絶対の信頼を得ている「ハイプレシカ」。そして現在では軟らかいスペーサーや30μm~100μmという大型粒径にも対応が可能になり、たゆまぬ技術革新を続けております。

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写真他社にはまねのできない大型粒径にも対応が可能になりました

未来への展望
現在、「ハイプレシカ」は液晶ディスプレーパネルのギャップ制御用スペーサーのみならず、タッチパネルや有機ELなどのスペーサーや電子材料用高機能充填剤としても活用されています。
今後は他社に追随を許さない大粒径タイプの安定量産を経て光学デバイスの精密接着スペーサーや、MEMS(Micro Electro Mechanical System)の加速度センサー、高度計等のほか、利用分野のさらなる拡大が期待されます。

写真利用分野のさらなる拡大を目指し、チーム一丸となって頑張ります

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